今の家は地震に強い?

 

こんにちは!長岡店の瀧澤です。

先日事務所で仕事をしていたらぐらぐら…と地震がありました。

新潟県ではそんなに大きな地震は少なくなりましたが

日本で暮らす以上、切り離せないものですね。

今回「地震」をテーマに

本当に「今の家は地震に強い?」のかを調査していきます。

加えて、地震に対してどんな選択肢があるのかもご紹介していきたいと思います。

 

  • 熊本地震の木造住宅被害件数
  • 耐震等級
  • 制振装置MIRAIE
  • 地震保険
  • まとめ

 


 

■熊本地震の木造住宅被害件数

国交省のレポートを元にまとめていきます。

https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf

 

熊本地震では「現行規定(平成12年~)」の比較的新しい木造住宅でも被害がありました。

具体的には

「倒壊」が7棟(2.3%)

「大破」が12棟(4%)

「軽微・小破・中破」が101棟(33.6%)

「無被害」が181棟(60.1%)

です。

 

昔の耐震基準の木造住宅のデータと比較します。

倒壊率を比べると

旧耐震基準(28.2%)→新耐震基準(8.7%)→現行規定(2.2%)

無被害率を比べると

旧耐震基準(5.1%)→新耐震基準(20.4%)→現行規定(61.4%)

という結果で、「今の家は“以前より”地震に強い」の根拠になるのではないでしょうか。

 

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(補足1)

現行規定以前の木造住宅で

「新耐震基準(1981年~)」の木造住宅は

「倒壊」が76棟(8.7%)

「大破」が85棟(9.7%)

「軽微・小破・中破」が537棟(61.2%)

「無被害」が179棟(20.4%)

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「旧耐震基準(~1981年)」の木造住宅は

「倒壊」が214棟(28.2%)

「大破」が133棟(17.5%)

「軽微・小破・中破」が373棟(49.1%)

「無被害」が39棟(5.1%)

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(補足2)

主な大地震と耐震基準の変化

1923年 関東大震災 →1924年 市街地建築物法改正

1948年 福井地震 →1950年 建築基準法制定

1978年 宮城県沖地震 →1981年 建築基準法改正・新耐震設計基準の導入

1995年 阪神・淡路大震災 →1995年 耐震改修促進法制定 2000年 建築基準法改正

 


 

■耐震等級

前項では「今の家は地震に強い」を証明できたつもりですが…

何をもって「安心」と思えるのかは人それぞれです。

その尺度として「耐震等級」というものがあります。

「耐震等級」とは、現行の基準に対してさらに何倍の耐震性能を有しているのかを証明するものです。

1~3等級まであります。

等級1は現行の基準(一般住宅レベル)

等級2は1の1.25倍(避難所レベル)

等級3は1の1.5倍(消防署・警察署レベル)

で、等級の数字と性能が比例します。

 

ちなみに先ほどのレポートでは耐震等級3の木造住宅の被害は

「軽微・小破・中破」が2棟(12.5%)

「無被害」が14棟(87.5%)

でした。

調査件数が16棟なので参考程度のデータですが8割以上が無被害でした。

 

耐震等級3の木造住宅が等級1に比べて構造的に何が違うのかというと「壁の量」です。

等級3は等級1より壁の量が約1.5倍欲しいです。

昨今は断熱性能も向上してきて大きな窓や開放的な間取りにする方が増えてきている中

壁の量が約1.5倍というのは制約にもなりうる。ということも知っておいた方が良いです。

(補足)

構造計算の方法が3種類あり

①「仕様規定」によるもの・・・「壁量計算」「偏心率計算」「柱引抜計算」と8つの仕様

②「性能表示」によるもの・・・①に「床・屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証

※簡易検査が認められており、スパン表(梁 の断面寸法を決める早見表)等を用いて、計算を省略することができる。

③「許容応力度計算」によるものがあります。・・・柱の1本・梁の1本・基礎に至るまですべての部材にかかる力を計算していく方法。

計算の詳細度で比較すると①<②<③です。

耐震等級2以上では②か③ですが

耐震等級2以上という評価であればすべて良しとは言い切れません。(計算の中身が異なる為)

 


 

■制振装置MIRAIE

「耐震」が揺れに対して耐えるという意味合いに対して

「制震」は揺れを制御する意味合いがあります。

実は木造住宅の耐震性は被災するごとに弱くなっていきます。

特に熊本地震では前震・本震で震度7を観測した地域があります。

何度も大きな地震に遭うならば、建物の揺れを抑えられないかと考えられできたのが

「制振装置MIRAIE」です。

要するに「地震に対して家を長持ちさせる為の装置」です。

基本的な耐震性も考えつつ+αで備えたい方におすすめです。

 


 

■地震保険

地震保険は火災保険とセットで加入します。

火災保険の保険金が2,000万円であれば地震保険は半分の1,000万円が保険金になります。

2019年以降に建てた住宅であれば保険料割引率10%を適用することができます。

耐震等級2を取得していれば30%割引

耐震等級3を取得していれば50%割引になります。

一般社団法人日本損害保険協会のシミュレーターを使うと

https://www.jishin-hoken.jp/price/

年間保険料は6,660円~11,100円です。

耐震等級3の住宅で保険料割引率50%を適用すると…

年間保険料は3,720円~6,200円です。

差額が最大で年間4,900円です。

これが35年分と考えれば171,500円の差額になります。

(耐震等級3であればそもそも被害が少ない=保険適用されずらいということで、地震保険に加入しないという考え方もあります。)


 

■まとめ

「今の家は地震に強い?」かは

強いと言ってよいと思います。

ただし、人によって「安心」と思える度合いは異なります。

その為、耐震等級や制振装置や地震保険といった+αの選択肢があります。

 

熊本地震のレポートを参考にお話ししましたが、一番大事な情報をまだお話していませんでした。

なぜ倒壊してしまったのか?という「原因」のお話です。

新耐震基準導入以降で倒壊した建築物で分析の結果、被害要因として、著しい地盤変状の影響(2棟)、隣接建物の衝突による影響(1棟)、蟻害(2棟)、現行規定の仕様となっていない接合部(73棟)が確認できた。また、震源や地盤の特性に起因して局所的に大きな地震動が建築物に作用した可能性があるものも一定数あった。(被害要因の重複含む)

平成12年6月以降に建築されたもので倒壊したもの(7棟)のみで見ると、被害要因は、現行規定の仕様となっていない接合部(3棟)、著しい地盤変状の影響(1棟)、震源や地盤の特性に起因して局所的に大きな地震動が建築物に作用した可能性があるもの(3棟)であった。

一番多い原因が現行規定の仕様となっていない接合部です。

具体的には柱脚に施工されているべきホールダウン金物が施工されていないという事でした。

結局、いくら机上の計算をしても施工されていないという状況になれば本末転倒です。

私たちは現場のチェックを自社の他、工程ごとに第三者機関に依頼して行い、品質管理をしています。

家づくりはどの会社に、誰に頼むかが一番重要なのかなと思います。

 

私たちのデザイン住宅はこういった設計の知識と品質管理がベースになっています。

長岡でデザイン住宅を建てたいという方は是非一度お声がけください。

 

 

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https://www.dejimo.co.jp/modelhouse/romo-nagaoka-model/

 

長岡店 瀧澤