家づくりを調べていると、こういう話に出会うことがあります。
「寒冷地では、基礎を凍結深度より深くしないといけない」
そして新潟は雪国ですから、当然うちも該当するのだろう、と思われる方がとても多いのです。
結論から言うと、新潟市には凍結深度の定めがありません。
これは新潟市が公式に文書で示している事実です。

◆新潟市の公式ページに、はっきり書かれています
新潟市の「積雪荷重・凍結深度について(建築基準法施行令第86条、第38条関係)」というページに、こう記載されています。
平成12年建設省告示第1347号に規定する凍結深度について、新潟市において定めはありません。
このページの最終更新は2026年4月1日。現行の扱いです。
まず、凍結深度そのものを説明させてください。
地面は、寒さが続くと表面から順に凍っていきます。その凍る深さが「凍結深度」です。土の中の水分は凍ると体積が増えるため、地面が持ち上がります。これを凍上(とうじょう)といいます。
基礎の底が凍結深度より浅い位置にあると、この凍上で建物が下から押し上げられてしまう。だから凍結深度が定められている地域では、基礎をその深さより下まで下ろす必要があるのです。
新潟市には、その定めがありません。

◆それでも、新潟市は全域が「多雪区域」です
ここで誤解していただきたくないのは、「新潟市は雪の心配をしなくていい」という話ではまったくない、ということです。
新潟市建築基準法施行細則の第10条には、こう書かれています。
第10条 政令第86条第2項ただし書の規定により本市を多雪区域として指定する。
2 本市における積雪の単位重量は、積雪量1センチメートルごとに1平方メートルについて30ニュートン以上とする。
新潟市は、全域が多雪区域です。 屋根に載る雪の重さは、法律上きちんと見なければならない。
つまり新潟市では、こういう組み合わせになっています。
- 雪の重さ → 多雪区域として、厳しく見る
- 地面の凍結 → 定めなし
雪国だから両方厳しいはずだ、と考えると、ここを取り違えます。この2つは、別の話なのです。
◆「雪国」をひとくくりにすると、設計の話がずれていきます
インターネットで家づくりを調べると、北海道や東北内陸の記事が、地域を区別せずに出てきます。凍結深度の話は、まさにその代表です。
新潟市の冬は、内陸の寒冷地とは性格が違います。
新潟地方気象台の資料によれば、新潟の1月は最高気温が5.3℃、最低気温が0.1℃。その差が5℃程度と小さいのが特徴です。気象台はその理由を「曇りや雨または雪の日が多いためです」と説明しています。
日中も夜間も、気温が0℃前後の狭い幅に収まっている。氷点下が何日も続く気候とは、地面の凍り方が違ってきます。
新潟の冬の厳しさは、気温の低さよりも、雪の量と、陽が射さないことにあります。だから制度の側も、雪の荷重は厳しく、凍結深度は定めなし、という形になっています。
「雪国の家づくり」という一語でまとめられた情報は、便利な反面、こういう地域差を消してしまいます。

◆もちろん、基礎を軽く考えてよいという話ではありません
ここまで読んで、「では新潟市の基礎は浅くていいのか」と思われたかもしれません。
そうではありません。
凍結深度の定めがないというのは、「凍上を理由に基礎を深くする必要はない」というだけの意味です。基礎の深さや形状は、その土地の地耐力、建物の重さ、そして積雪荷重から決まります。
しかも新潟市は多雪区域ですから、荷重の条件はむしろ厳しい側です。屋根に載る雪の重さは、そのまま柱を通って基礎に伝わります。
参考までに、法令が定めている基礎の最低ラインはこうです(平成12年建設省告示第1347号)。
- 根入れ(地面から基礎の底までの深さ) → 布基礎で24cm以上、べた基礎で12cm以上
- 立ち上がり(地面から上に出ている部分の高さ) → 30cm以上
これに対して、モリタ装芸が新築で標準としているのは、根入れ450mm・立ち上がり400mmです。どちらも法令の下限を大きく上回っています。
凍結深度の定めがないから浅くしておこう、という考え方では造っていません。雪の重さを受けるのは、最後は基礎だからです。
さらに言えば、垂直積雪量は新潟市内でも一律ではありません。中央区は100cm、秋葉区の新津地区などは130cmと、区や地区によって設定が違います。同じ「新潟市内の土地」でも、屋根と構造の設計条件が変わってくるということです。
◆調べた情報が、その土地の話かどうか
家づくりの情報を集めることは、とても良いことだと思います。私たちも、勉強してこられたお客様との打合せは話が早くて助かります。
ただ、住宅に関する基準は、驚くほど地域ごとに細かく分かれています。 凍結深度のように「自治体が定めているかどうか」から違うものもあれば、垂直積雪量のように「同じ市内でも地区で違う」ものもあります。
ですから、調べて気になったことがあれば、そのまま持ってきていただくのが一番早いと思います。「ネットにこう書いてあったのですが、この土地ではどうですか」という聞き方をしていただければ、その土地の条件でお答えできます。

◆まとめ:新潟市の家は、凍結ではなく「雪の重さ」で設計する
- 新潟市に凍結深度の定めはありません(新潟市公式)
- 一方で新潟市は全域が多雪区域。積雪の単位重量は1cmごとに1㎡につき30N以上
- 新潟の1月は最高5.3℃・最低0.1℃と日較差が小さく、内陸の寒冷地とは気候の性格が違う
- ただし基礎の設計は地耐力・建物重量・積雪荷重から決まる。「浅くていい」という意味ではない
- モリタ装芸の新築の基礎は根入れ450mm・立ち上がり400mm。法令の下限(根入れ24cm/立ち上がり30cm)を上回っている
数値の根拠:凍結深度・積雪の単位重量・多雪区域の指定は、新潟市「積雪荷重・凍結深度について(建築基準法施行令第86条、第38条関係)」および新潟市建築基準法施行細則 第10条より(2026年4月1日時点)。基礎の根入れ・立ち上がりの最低基準は平成12年建設省告示第1347号より。気温は新潟地方気象台「新潟県の気象の特徴」より。根入れ450mm・立ち上がり400mmはモリタ装芸の新築における標準仕様です。
土地をご検討中で、その敷地の条件が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。その土地の条件と、そこにどんな家が建つのかを、同じ打合せの中でお話しできます。
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