土地の価格だけでは、総額は決まりません――新潟で土地を見るときの3つのチェック

土地を探しているとき、比べる材料はだいたい決まっています。価格、広さ、学区、駅からの距離、周辺の環境。

そして「A の土地は B より200万円安い」という判断をされる。当然のことだと思います。

ただ、私たちが土地をご一緒に見るときは、もう少し先まで見ています。

結論から言うと、同じ坪単価の土地でも、建物まで含めた総額と、建てられる家の自由度は変わります。 新潟で効いてくるのは、次の3つです。

  • 垂直積雪量(屋根と構造の設計条件が変わる)
  • 地盤(改良費をどれだけ見込んでおくか)
  • 液状化(将来のリスクをどう見るか)

いずれも、土地の販売資料には書かれていません。

◆①垂直積雪量――同じ新潟市でも100cmと130cmがあります

新潟市の垂直積雪量は、区や地区ごとに100cmから130cmまで定められています(新潟市建築基準法施行細則 別表第2)。中央区・東区・西区は100cm、秋葉区の新津地区などは130cm。同じ市内で1.3倍の差です。

積雪の単位重量は1cmごとに1㎡につき30N以上。屋根60㎡なら、100cmの地域で約18.4トン、130cmの地域で約23.9トンです。

ただし、この話には続きがあります。雪下ろしを前提にすれば、どの地区でも100cmまで下げて計算してよいと法律に定められていて(建築基準法施行令 第86条第6項)、私たちも新潟市内では全棟、この規定を使って設計しています。

ですから、100cmの地区と130cmの地区で、家の造りが極端に変わるわけではありません。ただし低減には条件があり、雪下ろしができる屋根の形であることが求められます。大きな吹き抜けや大開口を考えている場合は、ここで制約が出ることがあります。

詳しくは新潟の家は、東京の5倍の雪を前提に建てていますに書きましたので、そちらをご覧ください。

◆②地盤――新潟平野は、軟弱地盤が分布する地形です

新潟県地質調査業協会は、軟弱地盤をこう定義しています。

土の強度が弱く、また軟らかく、圧縮しやすい地盤(構造物の基礎地盤として十分な地耐力を有していないもの)

対象になるのは「軟らかい粘性土、腐植土、緩い砂質土」で、判定の目安は標準貫入試験のN値が4以下。そして分布する地形として挙げられているのが、三角州、後背湿地、おぼれ谷など、おもに沖積平野です。

新潟平野は、まさにその沖積平野です。

誤解のないように申し上げると、「新潟の土地はどこも地盤が悪い」という意味ではありません。同じ町内でも、少し離れれば地盤は違います。その土地を調べてみないと分からない、というのが正確なところです。

ここが土地探しの難しいところで、地盤調査は多くの場合、土地の売買契約のあとになります。買う前に確定させにくい項目です。

だからこそ、契約前の段階では、

  • 周辺の造成の履歴
  • 近隣で地盤改良が行われているか
  • 地形分類(もとが田んぼか、砂丘か、旧河道か)

といった手がかりから、当たりをつけておくことになります。ここは土地を扱ってきた経験がものを言う部分です。

地盤以外にも、契約前に見ている項目があります。たとえば、上下水道やガスの引き込みが敷地まで来ているか。 来ていなければ、その工事費が別に乗ります。

基礎の仕様については、凍結深度の記事で触れています。

金額の話をします。私たちの実績では、地盤改良が必要になるケースは8割以上です。

新潟で家を建てるなら、改良は例外ではなく、最初から掛かるものとして見込んでおく。それが私たちの考え方です。

資金計画の段階で改良費を含めて積んでおけば、実際の金額とのズレは±20万円ほどに収まります。逆に、それを見込まずに土地代を決めてしまうと、あとから出てきた費用がそのまま予算オーバーになります。

「土地の価格だけでは総額は決まらない」というのは、まずこの意味です。

◆③液状化――無料で、誰でも、今すぐ見られます

液状化については、公的なマップが公開されています。新潟市も自社サイトで案内しています。

1. 液状化しやすさマップ(北陸地方整備局・地盤工学会北陸支部)

過去の液状化発生状況や地形地質の情報をもとに検討されたものです。

2. 新潟県液状化危険度分布図(新潟県の地震被害想定調査・令和4年3月公表)

国土交通省の「重ねるハザードマップ」で閲覧できます。

どちらも無料で、住所から調べられます。土地を検討する段階で、一度は見ておく価値があります。

◆もちろん、危険度が高い土地は買ってはいけない、という話ではありません

ここまで読むと、リスクのある土地は避けるべきだ、と受け取られたかもしれません。

そうではありません。

液状化のしやすさも、地盤の強さも、設計と工事で対応できる範囲がかなりあります。 地盤改良には複数の工法があり、その土地に合わせて選びます。危険度の区分は「建てられない」を意味するものではありません。

それに、暮らしやすさや職場との距離、お子さんの学区といった条件のほうが、日々の満足度には大きく効きます。地盤を理由に、住みたい場所を諦める必要はないと考えています。

大事なのは、知らないまま進まないことです。知っていて選んだ土地なら、費用も工法も計画に織り込めます。知らずに進むと、契約後に想定外の費用が出てきます。同じ土地でも、この2つはまったく違う体験になります。

◆モリタ装芸が、土地の話を早い段階でしたがる理由

理由は単純で、設計の条件が、土地の側でほとんど決まってしまうからです。

垂直積雪量も、地盤も、液状化のしやすさも、建物側の工夫では変えられません。土地が決まった時点で、条件は出そろっています。

そして、土地と設計の話が別々に進むと、こうしたことが起こります。

  • 土地を決めてから、思っていた間取りが入らないと分かる
  • 総予算を土地代で使い切ってから、地盤改良費が出てくる
  • 建物の条件を先に詰めていたら、選ぶ土地が変わっていた

土地と設計を同じ打合せで話せると、この順番のずれが起きません。

◆まとめ:土地の資料に載っていない3項目

  • 垂直積雪量――新潟市内でも100〜130cm。雪下ろしを前提にしない家にするなら、構造に差が出る
  • 地盤――軟弱地盤の目安はN値4以下。当社の実績では改良が必要になるのは8割以上。最初から見込んでおく
  • 液状化――公的マップが無料で公開されている。今日でも見られる

土地の価格表に載っているのは、価格と面積と用途地域まで。そこから先は、調べた人だけが分かります。

数値の根拠:垂直積雪量・積雪の単位重量は新潟市建築基準法施行細則 第10条および別表第2より。雪下ろしによる垂直積雪量の低減は建築基準法施行令 第86条第6項より。軟弱地盤の定義とN値4以下という判定基準は一般社団法人新潟県地質調査業協会より。液状化マップは新潟市の案内にもとづきます(北陸地方整備局・地盤工学会北陸支部/国土交通省「重ねるハザードマップ」)。地盤改良の割合と費用のズレは、モリタ装芸の実績にもとづく数値です。

気になっている土地があれば、住所だけお持ちください。 積雪量の区分と、公開されているマップ上の位置、そしてその土地にどんな家が建てられそうかを、その場でご説明します。

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