【定額制注文住宅『PePe』】くつろぎの2階リビングで、夜のコーヒータイムを

※本記事は住宅情報WEBマガジンDaily Lives Niigataによる取材記事です。

花や草木が彩りを添える、三角屋根の住まい

新潟市中央区の住宅街。38坪の角地に立つ三角屋根の住まいは、定額制注文住宅『PePe』の30坪タイプ(3間×5間)だ。

三角屋根がきれいに見える西面は、西日を採り込まないように窓は少なめに。それがすっきりとした外観デザインになっている。

コーナーの1畳分を切り欠くようにしてつくられたポーチもPePeの特徴。この家ではポーチの壁を杉板張りにすることで優しい表情をつくり出している。

建物前に植えられた花や土間コンクリートの間を這うグランドカバーなど、ちょっとしたところに色彩があふれ、住宅街の風景を明るくしている。

 

PePe」に魅力を感じ、モリタ装芸に依頼

この家に暮らすのは、Eさん(姉)とTさん(妹)の姉妹。

数年前にアパートで一緒に暮らし始めたが、猫が増えたこともあり段々と手狭に感じるようになったという。そして、今後も2人で暮らしていくことを見据え、持ち家を検討し始めた。

「はじめは中古住宅や建売も考えていたんですが、私たち2人暮らしでは、よくある主寝室があって子ども部屋があって…という間取りがマッチしないんです。それで自由設計の新築を建てることにしました」とEさんは話す。

住宅会社を調べて動き始めたのは2021年の春。姉のEさんが土日休みの会社員で、妹のTさんは美容室を自営しているため、まずは一緒に休みが取れるゴールデンウィークにオープンハウスを回ったという。

ゴールデンウィークが明けた次の週末に、Eさんはモリタ装芸の小針モデルハウス「PePe」を訪れた。

「その時は私一人で行ったんですが、すごく好きな雰囲気のモデルハウスでした。いろいろな会社の営業担当の方と話しましたが、その時に対応してくれたモリタ装芸の中村圭佑さんが一番押しが弱かったのも印象的でしたね。中村さんは全然ぐいぐい来なくて話しやすかったです。他の会社では次の約束を迫られましたが、中村さんは何も言ってこないので、逆にこっちから『次いつ会える?』と聞かなきゃならないような感じでした(笑)」とEさん。

その後2人で再びモリタ装芸を訪れ、家づくりを依頼することを決断。6月には土地も契約でき、順調に準備が整っていった。

設計を担当したのは石川勝也さん。

プラン提案を受けながら、EさんTさん姉妹は同じ定額制注文住宅でもPePeにするか、少し価格が抑えられるROMOにするかで悩んでいたという。

「希望がどんどん増えていたのでROMOにして価格を抑えた方がいいか?やっぱり2階リビングで勾配天井にできるPePeがいいか?と、判断に迷っていました。それから2つの比較表を作ってさらに検討し、最終的にPePeに決めたんです。それでも私たちは理想を叶えるよりも減額する方に意識がいっていました。すると石川さんから『とりあえず考えていることを全部言ってみてください。ボールは遠くまで投げた方がいいですよ』とアドバイスを頂きました。それで、ああしたいこうしたいという話をしたんです。石川さんはそこから私たちのニーズをつかみ、いろいろな提案をしてくださいました」(Eさん)。

 

登山道具用の収納を備えた玄関

玄関は1坪の空間。左手にはシンプルなデザインの下足入れがあり、その上の窓からたっぷりと光が注いでいる。

ホールの床を見ると、猫のシルエットが入ったかわいらしいラグが迎えてくれた。これは「月山緞通」というさらりとした麻の織物で、その素材感が心地いい。

玄関右手には真鍮の取っ手が付いた収納があり、中にはEさんの登山道具が詰まっている。

「10年くらい前に登山を始めたんです。ソロテントを持って北アルプスに2泊3日で出掛けたりもします。一人で登ることが多いですが、登山は一人でも全然楽しいですね」とEさん。

 

寝室は寝るのに特化。3.75畳の小さな空間

玄関の先は階段があるホール。

その右手を見ると、まっすぐに廊下が伸びている。

廊下の右側には3つの部屋が並んでおり、手前が4畳のウォークインクローゼット、真ん中と奥の3.75畳の個室は姉妹それぞれの寝室になっている。

「1階の寝室は寝るだけの場所と割り切って小さめにしました」とEさん。寝ることに特化した個室には余計なものがなく、質の高い睡眠が取れそうだ。

廊下を挟んだ向かい側は水回り。

幅1,365mmの造作洗面台はゆとりある広さで、その奥にはEさんが登山靴を洗うためのスロップシンクが設けられている。布地のような質感の床材は、サンゲツのフロアタイル「杉綾」(型番:GT-902-T)でクッション性のある踏み心地が気持ちいい。

その反対側にはガス乾燥機を備えた脱衣室、浴室が続く。

コンパクトな個室や水回りなどの小さな空間が1階にぎゅっとまとまっている。

 

階段を上がった先は、円テーブルがあるダイニング

再びホールに戻り、2階へ伸びる階段を見上げてみた。

回り階段と折り返し階段を組み合わせたようなデザインで、2階の窓からたっぷりと光が注いでいる。開放感のある階段は、何気ない階段の上り下りという所作を楽しくしてくれそうだ。

階段を登り切った場所はダイニングで、そこにはマルニ木工のラウンドテーブルが置かれている。

勾配天井から吊り下げられているのは、flameのコットン生地のランプシェード「madeleine(マドレーヌ)」。その傍らの窓はこの家唯一の「片上げ下げ窓」で家具との相性もいい。

 

コーヒー道具が並ぶ造作カップボード

その隣は2人で立ってもゆとりがあるキッチン。

壁はスクエアタイルのようにも見えるグレージュカラーのアクセントクロス(リリカラ LL-5002)で、落ち着いた色味はオークの飾り棚やカップボードとの相性がいい。

タイル柄のクロスは、しばしばタイルを張るコストを抑えるために用いられることがある。

しかし、フラットなクロスは程々の存在感で暮らしの道具を引き立てており、バランスのいい一角をつくり出している。

タイル柄のクロスはタイルのフェイクや代用品と思われることもあるが、タイルとは異なる魅力を持つものだ。

棚にはコーヒーの道具や日常使いの器が並んでおり、そのこなれた雰囲気からお二人が日々の暮らしを楽しんでいる様子が伝わってくる。

 

お気に入りの家具が散りばめられたリビング

キッチンの正面はリビング。

壁に囲まれた8畳のリビングに置かれている家具は、ひっかき傷に強いラムース生地を張ったカリモクのソファや、KARIMOKU NEW STANDARDのモダンなテーブル「カラーウッドプレーン」。

壁に取り付けられている照明はIDEEのAPPLIQUE MURALE 2 BRAS PIVOTANTS(アプリク ミュラル ドゥ ブラ ピヴォタン)。

造作のTVボードには、テレビの他にJBLのステレオスピーカーやTEACのアンプが置かれており、ここでじっくり音楽を楽しむこともできる。

好きなものに囲まれたリビングは、少し籠もり感があって落ち着ける空間だ。

「この家は夜が特にいい雰囲気なんですよ」とEさんは話す。

「私たちは二人とも日中家にいないので、この家で過ごすコアタイムは夜なんです。ごはんを食べて家事を終わらせた後に、毎晩二人でコーヒーを飲みながら過ごしています。コーヒー屋さんで豆を買うのが好きで、ドリップで淹れたりフレンチプレスで抽出したりして楽しんでいます。帰ってくるのが遅くなった日もコーヒータイムは必ずやります。夜のルーティーンですね」。

ちなみにソファの後ろを手すりだけにして、吹き抜けとリビングを一体にする案もあったが、梁の上から愛猫たちが落下するリスクをなくすために、壁にしたという。

「石川さんから『室内窓』を付けることができますよ、と提案を頂き、2つの窓を付けてもらいました。それから、梁の上で2匹がすれ違えるように上に板を張って少し広くしているんです」(Eさん)。

 

さまざまな目的に使える共有の個室も

2階の奥には4.5畳の個室が設けられており、こちらは多目的に使える予備室となっている。Tさんが着付けの練習をしたり、Eさんがリモートワークや資格試験の勉強をしたり。このプラスαのスペースが役に立っているという。

デスクの前の壁には、Eさんが各地の山で集めたピンバッチが飾られている。

また、ダイニングの奥には、手洗いスペース、猫用のトイレスペース、トイレを固めている。

くつろぐだけでなく、機能的な空間もバランスよく織り込まれているのがポイントだ。

 

大切にしているのは、その人にとってのベストアンサー

最後にこの家の建築に携わった設計・営業・監理それぞれの担当者に、家づくりで大切にしている考え方を伺った。

設計を担当した石川勝也さんはこう話す。

「僕が設計で大切にしている哲学みたいなものはなくて、それよりもお客さん自身の哲学に合った家を設計するようにしています。最近はYouTubeを通して住宅の専門家から得た知識を持ってこられる方も多いですが、『あなた自身は本当はどうしたいですか?』と聞きながら、ご自身が大切にしていることを伺うようにしています。例えば40年以上前に建てられた古い家でハッピーに暮らしている人もいますし、僕も子ども時代は古い茅葺き屋根の家に住みながら幸せでした。みんな違う理想の暮らしを持っているものですし、その人その人に合ったベストアンサーを見つけたいと思っています」。

営業担当の中村圭佑さんは、「今日Eさんから、計画時に5社くらいで検討していたということを初めて聞きましたが、僕はお客さんに対してぐいぐい行くこともないですし、あまり他社さんを意識することもありません。いい家を提案するのに他社さんのことを考える必要はないですし、意識をするとかえってお客さんにとっていい結果にならないと思っているからです」と話す。

「家づくりについて調べることも打ち合わせの時間も楽しくて、昨年は山よりも家のことばかり考えていました。ここに住んでからは家での時間が充実するようになりましたね。休日に音楽を聴いたり、ネットフリックスを見たり、家事をする時間も楽しいです」とEさん。

「私は庭いじりが楽しみになりましたが、仕事が忙しくて家に居る時間をあまり取れていないので、今後はもっと家でくつろぐ時間をつくりたいです」(Tさん)。

姉妹それぞれが自立した個人の人生を送りながらも、一日の終わりにはソファに腰掛けて一緒にコーヒーを飲みながら語り合う。

温かい照明の光がこぼれるリビングに漂うのは、音楽とコーヒーの香り。

穏やかでリラックスできる空間には、“自分たちにとって心地よいものが何か?”を知り尽くした大人のセンスがあふれている。

 

K邸
新潟市中央区
延床面積 96.46㎡(29.50坪)
構造 木造軸組工法
竣工年月 2022年3月

写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平

※本記事は住宅情報WEBマガジンDaily Lives Niigataによる取材記事です。