家づくりの相談をしていると、「C値」や「気密性能」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
なんとなく“性能が高い家”というイメージはあるけれど、具体的に何を意味しているのか分からない──そんな方も多いと思います。
今回は、住宅の品質を左右する重要な指標「気密C値」について、専門的な内容をわかりやすく解説します。
C値とは?住宅の“すき間”を数値で表す指標
気密性能とは、住宅の内部と外部の空気がどれだけ出入りしにくいかを表す性能のこと。
この性能を客観的に示す数値が「C値(相当すき間面積)」です。単位は「㎠/㎡」。建物全体のすき間面積を延べ床面積で割って算出します。
C値が小さいほどすき間が少なく、空気の漏れが少ない“高気密な家”ということになります。
たとえば、C値5.0の住宅とC値0.5の住宅では、同じ面積でも空気の漏れ方が約10倍違うと言われます。つまり、数値が低い=気密性が高い=外気の影響を受けにくい家、という関係になります。

なぜ「気密」が大切なのか?
気密性の高い住宅では、室内の空気が計画通りに流れやすくなります。
すき間が多いと、換気システムで取り入れた新鮮な空気が思ったように循環せず、汚れた空気が溜まりやすくなります。
一方で、気密が確保されている住宅は、必要な分だけ確実に空気を入れ替えられ、室内環境が安定します。
また、すき間風や外気の流入が少ないため、室内の温度変化も穏やかになります。
断熱性能と組み合わせることで、家全体の快適性が大きく向上するのです。
つまり、気密は単なる数値ではなく、「快適な空気環境を実現するための基礎」だといえます。

高気密住宅の主なメリット
1. すき間風がなく、静かで安定した空間
気密性が高い家では、冬の冷たい風や夏の湿気が入り込みにくくなります。
外気の影響が少ないことで、家の中の温度や湿度が一定に保たれ、季節を問わず心地よい環境を維持できます。
また、外部からの騒音が入りにくく、室内の静けさが保たれる点も高気密住宅ならではの快適さです。
2. 換気が計画通りに機能する
気密性が高いほど、設計通りに空気を循環させやすくなります。
24時間換気システムが正しく作動し、新鮮な空気を効率よく取り込むことができるため、結露やカビの発生を防ぎやすくなります。
これは、健康的な暮らしを維持するうえで大きなメリットです。
3. 建物の耐久性を高める
家の内部に湿気を含んだ空気が入り込むと、内部結露が起き、構造材の腐朽につながることがあります。
気密性を高めることで、そうした空気の侵入を防ぎ、長く安心して暮らせる家を守ることができます。

注意すべきポイント:換気と施工精度
高気密住宅には、いくつか注意すべき点もあります。
まず、気密が高いほど自然な空気の出入りが少なくなるため、計画換気の維持が不可欠です。
換気システムを止めてしまうと、湿気や二酸化炭素がこもりやすくなるため、常時運転を基本としましょう。
また、C値は設計段階で決まるものではなく、施工の精度で大きく左右される指標です。
断熱材や配管まわり、サッシの取付部など、細部の施工が丁寧でなければ、理想の数値は得られません。
気密測定を実施して実際のC値を確認し、品質を保証することが大切です。

モリタ装芸の取り組み
モリタ装芸では、全棟でC値0.5以下という施工基準を設定しています。
設計・施工・造作まで一貫体制を整えることで、細かなすき間まで丁寧に処理し、安定した気密性能を確保。
快適な空気環境と、家の長寿命化を両立する住まいづくりを行っています。
まとめ|“すき間をなくす”ことが暮らしの質を高める
気密C値は、見た目には分かりにくい性能ですが、暮らしの快適さや健康、そして住宅の耐久性を支える大切な要素です。
断熱や換気と並び、家の“基本性能”を考える上で欠かせないポイントといえるでしょう。
モリタ装芸では、気密性能を数値でしっかり確認しながら、お客様一人ひとりの理想の暮らしに合わせた家づくりをご提案しています。
すき間のない家で、心地よい空気と静かな時間を――。それが、私たちが考える「快適な暮らし」のかたちです。




