耐震等級とは？地震への不安に備える家づくりの基本
日本で暮らす上で、地震という存在は切っても切り離せません。
大きな地震が定期的に発生し、古い家屋が倒壊したり、避難生活を余儀なくされることがあります。
「せっかく新築した家が地震で被害にあったらどうしよう」
家づくりの中で耳にする「耐震等級」は、
そうした漠然とした不安に備える目安のひとつです。
今回は、過去の地震で見えてきたことにも触れながら、
耐震等級とは何か、
そしてそれが日々の暮らしにどんな影響を与えるのかを、
モリタ装芸なりの目線で、お話ししてみたいと思います。
地震のたびに問われてきた「家の強さ」
日本ではこれまで、
阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など、
大きな地震が何度も起きてきました。
そのたびに感じさせられるのが、
同じ地域、同じような揺れの中でも、
家によって被害の大きさが違っていたという事実です。
倒壊してしまった家がある一方で、
補修をしながら住み続けられた家もありました。
その差を生んだ要素のひとつが、
建物の耐震性能です。
地震そのものを止めることはできませんが、
揺れを受けたときに、
どこまで踏ん張れるかは、
家のつくり方によって変えられる部分があります。
そうした経験の積み重ねから、
家の強さを比べるための共通の目安として、
耐震等級という基準が整えられてきました。
耐震等級とは、「どこまで備えるか」を考えるための基準
耐震等級とは、
国が定めている住宅性能表示制度の中で、
建物の耐震性能を数値的に比較できるようにした基準です。
基準となっているのは、
建築基準法で想定されている地震の力（耐震等級1）。
そこから、
- 耐震等級2：耐震等級1の1.25倍の地震力
- 耐震等級3：耐震等級1の1.5倍の地震力
に耐えられるよう設計されているかどうかで、
等級が分かれています。
数字だけを見ると小さな差に感じるかもしれませんが、
建物全体にかかる力として考えると、
この差は決して小さくありません。
地震の多い日本では、
「どこまで想定しておくか」を
具体的な数値で考えられることが、
耐震等級の大きな意味だと感じています。
耐震等級1・2・3｜地震のあとを、数値から想像してみる
耐震等級1｜まずは命を守るための基準
耐震等級1は、
建築基準法で定められている耐震性能で、
震度6強〜7程度の地震に対して、
建物が倒壊しないことを目的としています。
ここで想定されているのは、
数百年に一度発生するとされる規模の地震です。
命を守るという点では重要な基準ですが、
建物の変形や損傷は許容されており、
地震後に補修が必要になるケースも少なくありません。
—まずは命を守るための基準
耐震等級1は、
建築基準法で定められている、
いちばん基本となる耐震性能です。
大きな地震が起きたときにも、
建物が倒壊せず、
人の命を守ることを目的としています。
実際、過去の地震でも、
この基準を満たした建物が
命を守った例は数多くありました。
その一方で、
大きな損傷を受けてしまい、
地震のあとに住み続けることが
難しくなったケースも見られています。
耐震等級2｜被害を抑え、暮らしをつなぐための基準
耐震等級2は、
耐震等級1の1.25倍の地震力に耐える設計です。
学校や病院など、
地震のあとも使い続けられることが求められる建物で、
採用されることが多い基準でもあります。
過去の地震調査では、
このレベルの耐震性能を持つ建物は、
被害が比較的軽く抑えられ、
補修をしながら生活を再開できた例が
多かったとされています。
「できれば、地震のあとも自分の家に戻りたい」
そんな思いを持つ方にとって、
ひとつの安心につながりやすい等級です。
耐震等級3｜その後の暮らしまで見据えた基準
耐震等級3は、
耐震等級1の1.5倍の地震力に耐える、
住宅で最も高い耐震等級です。
消防署や警察署など、
災害時の拠点となる建物と同じレベルを
目安に考えられています。
熊本地震などの調査では、
耐震等級3相当の建物は、
大きな構造被害が少なく、
比較的早く日常生活に戻れた例が
多く報告されています。
修繕や仮住まいの負担を抑えられる可能性がある点は、
暮らしの安心という意味でも、
大きな特徴だと感じます。
「耐震等級3なら、もう大丈夫？」と思ったときに
ここまで読むと、
「耐震等級3なら、どんな家でも安心なのでは？」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、過去の地震を振り返ると、
同じ耐震等級でも、
被害の出方に差があった例があるのも事実です。
その違いを生むのが、
間取りや壁の配置、
そして構造をどう確認しているか、
といった設計の考え方です。
モリタ装芸では、全棟で耐震等級3を標準にしています
では、
モリタ装芸では耐震についてどう考えているのか。
私たちは、
すべての住まいで耐震等級3を標準としています。
新潟は過去数十年の中でも地震の多い県です。
特徴として、地盤が悪いことが多く、冬には積雪で屋根が重くなるため、こうした要素が地震の際には不利に働きます。
こうした地域の特性を理解し、建てた家が永く住み続けられるよう耐震等級は最高等級の3を取得しております。
一棟一棟、許容応力度計算で確かめています
さらにモリタ装芸では、
一棟一棟、許容応力度計算を行っています。
許容応力度計算は耐震設計をする際に最も厳格な方法で構造検討をする方法です。
一般的に建物の安全性能は、このように比較されます。
仕様規定（最低限の簡易計算）＜性能表示計算（品確法）＜許容応力度計算
許容応力度計算では、建築の部材１つ１つが地震に耐えられるのか検討されています。
柱や梁、基礎に、
どのくらいの力がかかるのか。
その力に、
きちんと耐えられるかどうか。
感覚ではなく、
数字として確認しながら設計することで、
構造の考え方を、
できるだけ分かりやすく、
確かなものにしています。
「等級3だから安心」ではなく、
「中身まで確かめているから安心」
そう言える家づくりを大切にしています。
強さがあるから、地震後の暮らしをあきらめなくていい
耐震性能を高めると聞くと、
「間取りの自由度が下がるのでは」と
不安に思われる方もいらっしゃいます。
モリタ装芸では、
構造をしっかりと考えたうえで、
その中で、
どうすれば心地よく暮らせるかを
一緒に考えていきます。
地震の話をするのは、
不安をあおるためではなく、
これからの暮らしを、
できるだけ穏やかに続けていくため。
安心を土台に、
日々をほっと過ごせる住まいを、
私たちは目指しています。
まとめ｜前例を知ることは、安心を選ぶこと
過去の地震の前例は、
これからの家づくりにとって、
大切なヒントをたくさん残してくれています。
耐震等級という分かりやすい指標と、
許容応力度計算による裏付け。
その両方がそろって、
はじめて「きちんと備えている」と
言えるのかもしれません。
これから住まいを考える方が、
少しでも安心して、
自分たちらしい暮らしを
思い描けるように。
そんな想いで、
一棟一棟の家づくりに向き合っています。
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